わたしはメッセンジャーナース

本当の看護って?
探していた答えがここにある!

 

DVD『わたしはメッセンジャーナース』制作のいきさつ

暮らしの映像社 代表 鈴木 浩

「メッセンジャーナースに関心をもってもらうためのDVDを作りたいのです」
村松静子さんからこう言われたのは、2016年11月。その時、長年の抱き続けた願いというものは、いつかはきっと叶えられるのだと思って嬉しくなりました。
村松さんとはじめてお会いしたのは2003年、私がディレクターを担当していた「心のともしび」というテレビの対談番組(BS日テレほか)にゲストとして出演していただいた時でした。村松さんは開業ナースとしての御自身の活動とその思いを語ってくださいました。日本赤十字病院のICU看護師長だった村松さんは、ある患者さんの家族からの「助けてください」の痛切な叫びに応え、日赤に籍を置きながら在宅看護ボランティアを始めたそうです。患者さん家族の「助けてください」を放っておけなかった村松さんの看護師としての心意気と行動力に感動しました。村松さんは患者さんの「困った」を放っておくことができない人。これが番組を通しての村松さんの印象でした。
クリスマスの晩だけは家族と一緒に過ごそうと決めていた村松さんが、患者さんの家族からの呼び出しで出かけて行ったという話、それを笑顔で語る村松さん。番組収録を終えてからも忘れることができませんでした。困っている人を放っておかない。本当の看護ってそういうものかも知れないと思いました。

その後、思いがけない出来事で私はまた村松さんの心意気と行動力に感動することになりました。ディレクターの大先輩であるKさんのお姉さんが重い病気にかかったのです。「納得のできる看とりをしたい。でもどうやって?」Kさんの気持ちが痛い位に伝わってきました。番組のゲストとして出会っただけの村松さんに助けを求めることに躊躇しながらも相談の電話をかけたのです。村松さんの言う「“看護の心とわざ”をいつでも、望む人すべてに!」というスローガンは本物でした。
村松さんは自らKさんのお姉さんを訪問して力になってくださったのです。おかげで、Kさんはお姉さんを納得のいく時間の中で見送ることができました。Kさんも私もそのことに今も感謝しています。いつか映像を作ることで何かお役に立てることがあれば…そんな願いを抱きながら十年が過ぎました。

2016年5月、在宅看護研究センター30周年記念の集いに私は村松さんの笑顔を見たくて参加しました。「いつでも、どこでも、どんな重症でも、家にいたいという人を看れるようでなければ、看護師としては私は自分を許せない」という村松さんが在宅看護の道を切り拓いて三十年が経っていました。村松さんへの感謝の気持ちから、当日の様子をビデオ記録してプレゼントすることを思いつきました。
「暮らしに伴走するメッセンジャーナースとは?」というシンポジウムの一部始終を撮影しました。登壇した5人の「メッセンジャーナース」と言われる看護師さんたちの語る内容に圧倒されました。「今の医療は患者よりも病院の都合を優先させているのではないだろうか…」と医療の在り方に不満を抱いている私にとって新鮮な発見がいくつもあったのです。ここに登場したメッセンジャーナースの方たちは、医療が抱える現実的な課題と向き合いながら、不満を語るのではなく培ってきた“看護の心とわざ”を活かして医療の受け手である患者や家族と医療者との間の懸け橋になろうとしていました。
あるメッセンジャーナースの方は、医師が「もう守れない」と言ったある患者さんを、それでも看たいと思い、看護師として起業する道を選んだそうです。
看護師がなぜ起業するのか。それが自然に納得できました。出会った患者さんを医療的にはもうすることがないといって見離すことをよしとしない看護師の存在も知りました。
医師に打つ手がなくなっても看護師だからできることがある筈。たとえリスクがあってもそれをやる行動力、そしてそこまで患者さんを大切にする思いに心打たれました。

30周年記念の集いから半年後、メッセンジャーナースのDVD制作のお声をかけていただくことになったのです。何かお役に立てることがあれば…の願いが、このような形で
実現したのです。メッセンジャーナースを知るために、メッセンジャーナースの研鑽セミナーや認定式の様子を撮影し、村松さんやスタッフの方々の話しを聞かせていただくことにしました。今なぜメッセンジャーナースなのかが少しづつ見えて来ました。栃木、山口、兵庫、そして大阪と各地で活動するメッセンジャーナースの方々の姿も撮影させていただきました。それぞれ立場も違い、やっていることも異なりますが、皆さんに共通していたのは、看護師としてやらなくてはならないと信じたことを淡々と行うその行動力と生き生きとした表情でした。「ひとの世のしあわせは 人と人とが 逢うことからはじまる」という言葉が大好きな私にとって、今回のメッセンジャーナース取材の旅は文字通りの素晴らしい出会いの旅になりました。

超高齢社会、そして医療制度の変化も進んでいく中で、私たちの一人ひとりがいのちと医療について自分なりの考えや選択基準を持たなくてはならないのではないでしょうか。どうしていいかわからないことや不安もある筈です。そんな時に患者や家族と医療者の懸け橋となってくれるメッセンジャーナース。これからますますその存在が必要とされると思います。「メッセンジャーナースって知っていますか?」何人かの看護師さんに聞いてみました。まだまだ知らない方が多いようです。村松さんの依頼を受けて作ったメッセンジャーナースのDVDがメッセンジャーナースを知っていただくために役立つことを願っています。

村松さんとの出会いを振り返りながら昔の日記をたどってみました。「私のやりたいことはビデオによるメッセンジャー」と書かれている個所を見つけました。まだメッセンジャーナースの言葉も知らない頃の日記です。私が映像製作の仕事でやりたいのは、その人がいることで「この世の中も捨てたものではない」と思える、そんな人の存在を映像で伝えること。その思いを綴ったのです。メッセンジャーナースの皆さんの活動やその思いを映像を通してまだ知らない人に伝える。ビデオのメッセンジャーの役割かも知れません。
「いつかお役に立てれば…」の願いがこんな形で実現したことが不思議です。今、私はメッセンジャーナースを広めるためビデオのメッセンジャーになりたいと思っています。

テレビ番組「心のともしび」出演時の村松静子さん(2003年12月3日)
テレビ番組「心のともしび」出演時の村松静子さん(2003年12月3日)

 

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